株式会社ワコールは2009年10月〜12月の期間、女性ランナー約1,000人を対象に『スポーツブラに関する実態アンケート調査』を実施し、スポーツブラの所有率や着用実態を調査しました。その結果、所有率は約5割、着用率となるとわずか約3割にとどまり、着用率の低さが顕著に現れた結果となりました。また、今回のスポーツブラ着用実態アンケートに加え、『バストのユレと乳房下垂の関係』や『スポーツブラを何故着けないのか?』についても考察しました。
調査の実施概要 調査対象:全国の女性ランナー1,003 人(年齢10 代〜60 代)
調査方法:フィットネスクラブ、ランニングステーションでのアンケート調査およびWeb(インターネット)調査
調査時期:2009年10月〜12月
1.ランニング時のスポーツブラ常時着用率わずか3割
女性ランナー1,003人のアンケートでスポーツブラの所有率は約5割、ランニング時常時着用率はわずか3割ということが分かりました。
2.非所有者の約8割は普段のブラで走っています
スポーツブラを持っていない人は何を着けて走っているかというと、普段着けているワイヤー入りなどのブラジャーで走っています。ただ、ランニングを始めて半年経つとその数もぐっと減り、スポーツブラを購入する方が多くなることも分かりました。
3.スポーツブラの着用理由、第一位は『動きやすさ』
スポーツブラ着用の理由は、動きやすさを求めている人が8 割でトップ。下垂を予防してバストの形をキープしたい、と答えた人はわずか3割で、下垂予防の面での必要性を感じる方は少ないことが分かりました(複数回答)。
4.持っていない理由は、『必要だとは思っているけど・・・』と、手をこまねいている
持ってない理由は『必要と思うが、着替えるのが面倒』という人が23%、一方、「必要と思わない」という人はわずか9%で、スポーツブラの必要性を感じている人は多いことが分かりました。
〈ご参考〉
■衝撃から乳房を守ることが大切
京都府立医科大学大学院医学研究科 教授 河田光博先生
乳房内の「クーパー靭帯」は筋肉のように鍛えて強化することができません。ランニングによる上下動のような機械的な力が加わり続けることで「クーパー靭帯」にダメージがおよばないように、日ごろからできるだけ強い衝撃を与えないよう、ケアすることが大切です。
■まだまだ認識が足りない、スポーツブラで“体を守る”重要性
東京学芸大学 生活科学講座 教授 鳴海多恵子先生
運動をしている若い女性がスポーツブラを着用しない理由として、スポーツブラに対して「小学生が使うもの」「女性らしくない」というイメージが強く、こうした先入観やイメージが先行して『自分が身に着けるものではない』と思っている人が多いことが分かりました。しかし今回のモニター調査の結果のように、多くの人がスポーツブラを着けてみて初めてその良さを知ったという現実を目の当たりにすると、スポーツブラの着用によって自分の乳房を守ることの大切さを早い段階から教え、認識を深めてもらうことの重要性を強く感じます。
1.アンケート結果
(1)スポーツブラの常時着用率はわずか3割
持っている人と持っていない人の比率は約50:50ですが、注目すべきは持っている人の中でも、走るときは常に着けている人は約6割という数字。これは、女性ランナー1,003人のうち、常にスポーツブラを着けて走っている人は、わずか3割にしか上らない、ことを示します。
(2)ランニング歴半年で意識が変わる?
ランニング歴と所有率の関係を見てみると、走り始めたころは約3 割だった所有率も、半年経つころには所有率も急増。6割以上の方がスポーツブラを所有し、3年以上走り続けている人にいたっては、8 割近い方が所有していることが分かりました。また、その中でもやはりランニング歴の長い人ほどランニング時は常に着けている人が多く、ランニングを始めたばかりの時にスポーツブラ着用への意識が低かった人も、ランニング歴を重ねるにつれて着用の必要性を感じていることが伺えました。
(3)スポーツブラはハードランナーだけに必要なものではない!
マラソンをするハードなランナーだけがスポーツブラを着用しているのかというと、決してそうではありませんでした。マラソン大会の経験の有無とスポーツブラの所有率を見てみると、経験者の約7 割が所有、未経験者でも約5 割の方がスポーツブラを所有していました。この結果を見ると、スポーツブラは決してハードなランニングをする方だけのものではないことが伺えます。
(4)非所有者の約8割は普段のブラで走っています
スポーツブラを持っていない人はどんなブラジャーを着けて走っているのかを調べてみると、普段着けているワイヤー入りなどのブラジャーをして走っている人が約8割という結果に。そのうちの約6 割が始めたばかりの方で、やはり半年経つとその数もぐっと減り、スポーツブラを購入する方が多くなることがここでの結果でも伺えます
(5)スポーツブラの着用理由、第一位は『動きやすさ』
ランニング時にスポーツブラを着ける理由を聞いてみると、動きやすいが8割でトップ。バストの形をキープしたい、と答えた人はわずか3割で、下垂予防の面での必要性を感じる方は少ないことが分かります。
(6)持っていない理由は『必要だとは思っているけど・・・』と、手をこまねいている
持っていない理由は『必要と思うが、着替えるのが面倒』という人が23%、一方、「必要と思わない」という人はわずか9%で、スポーツブラの必要性を感じている人は多いことが伺えます。また、「その他10%」の中には『ほしいと思って探している』『気になってはいる』や、『胸が大きいのでサイズが合わない』、『まだ走り始めたばかりだから』『デザインがちょっと』といった答えも多く、気になっているけれど、手をこまねいている、といった現状も伺えます。
(7)きっかけはダイエット。でも走ってみたらイライラ解消!
走り始めたきっかけや走る理由を聞いてみると、『健康や体力づくり』や『ダイエット』、『ストレス解消』、『若さを保つため』、『周りの人に影響されて』など理由はさまざまですが、その中でも特に健康・体力づくり(71%)、ダイエット(53%)などの『カラダ』に関する目的が多いことが分かりました。ただ、走り始めて変わったことをフリーアンサーで答えてもらったところ、『体が引き締まった』、『やせた』、『疲れにくくなった』『冷えや肩こりがなくなった』といったカラダの変化に関する答え以外に、『すっきりする』、『気持ちが前向きになった』など精神面での変化の声も多く、走ることが心におよぼす作用を実感している方が多いことが分かりました。
2.ランニング時のバストのユレ

(ブラジャーを着けていない状態)
ランニング時のバストのユレは
単純な上下運動ではない
左の写真はランニング時のバストをかたどった立体像の写真です。上下に体が動くランニングでは、一歩、一歩と走るたびに、バストも大きくユレることがよく分かります。
また、ワコール人間科学研究所の研究ではランニング時のバストはある一定のユレ方をしていることが分かっています。体の上下運動に追随する形で、バストも上下にユレていると思いがちですが、実は左の写真のように上には動きますが下には動きません。つまり上に振り上げられたバストが下方向に叩きつけられる、という動きを繰り返します。また、上下のユレだけではなく、脇にも流れて回転をしながらユレていることも研究所の研究では分かっています。
3.ランニング用のスポーツブラ選びのポイント
普段のブラとは違う、上へのユレを考慮したスポーツブラ
ランニング時の歩数を想像してみると、どれほど多くの回数、バストが下方向に叩きつけられるようにユレ、衝撃を受けているかが分かっていただけるかと思います。よってランニング時はユレを軽減するために、バストは上方向に動かないよう、上部分をしっかりと覆い、そしてさらにバストのユレ方にそった形で、脇方向、下部分をサポートする設計のものが望ましいと考えられます。
日常、着けているブラジャーは、バストを下から支えることに注力した設計ですが、ランニング時のスポーツブラは、上へのユレの軽減や、ユレ方を考慮した設計のブラジャーが最適であり、用途によってブラジャーを着替える必要性があることが分かります。
ユレと摩擦の関係。適切なサイズ選びや長時間の着用には注意が必要
スポーツ用に開発したブラジャーでも、長時間着用する場合は注意が必要です。適切なサイズやカップを使用していない場合や、大きくバストが上下するランニングなどの運動を長時間続けた場合には摩擦が生じて肌を傷つける恐れがあるからです。よって、ご購入・ご使用前には必ずフィッティングをしてサイズをご確認いただき、違和感がある場合はただちに使用を中止していただくことをワコールではお願いしています。
ストラップがズレにくい。汗が乾きやすい。
走っている時に肩ヒモが下がって集中できない、ということのないよう、肩ヒモ部分を広くしたり、ストラップがクロスになっているなど、運動時にもズレにくい工夫がされているものがお勧めです。また素材には吸汗速乾素材や、やわらかい素材使いや構造など、快適なランニングのために、普段のブラとは違った工夫が施されているのもスポーツブラの特徴です。
4:『CW-X』のスポーツブラ
独自のサポートラインで、ユレをできるだけ少なく
ワコールではスポーツ時のコンディショニングに着目したコンディショニングウェアブランド『CW-X』 を全国の百貨店スポーツ売場やスポーツチェーン店などで展開しており、その『CW-X』ブランドからスポーツの原点である“走り”を追求したブラジャーを発売しています。これは“ランニング時のバストのユレ方”の研究から生まれた商品で、5方向からサポートすることで、ランニング時のバストの上下のユレをできる限り少なくするワコール独自の「5方向サポートライン【特許 第2930932号】」を取り入れたブラジャーです。また、この機能の他にも、幅広ストラップでズレにくく、汗をかいても快適にスポーツが楽しめる吸汗速乾素材や、メッシュ素材を使用するなど、ランニング時の状態を考慮した工夫をほどこしています。
■5方向サポートラインを取り入れている商品
| 品 番 |
『CW-X』スポーツブラHTY・158 |
| 価 格 |
5,565 円(税込希望小売価格) |
| サイズ |
S・M・L |
| カラー |
BL(ブラック)・PU(パープル)(PUはM・L のみ)
*PUは2/20 発売予定、店舗により発売日は異なります |
| 品 番 |
『CW-X』スポーツブラHTY・038
(ラージカップ対応) |
| 価 格 |
5,880 円(税込希望小売価格) |
| サイズ |
S(DE・FG)・M(DE・FG)・
L(DE・FG)・LL(DE) |
| カラー |
BL(ブラック)・BR(ブラウン)
*Sサイズは2/20 発売予定、店舗により発売日は異なります。 |
| 品 番 |
『CW-X』スポーツブラHTY・054
(ラージカップ対応) |
| 価 格 |
5,880 円(税込希望小売価格) |
| サイズ |
M(DE・FG)・L(DE・FG)
|
| カラー |
BL(ブラック)・PU(パープル)
*PUは2/20 発売予定、店舗により発売
日は異なります。 |
〈長時間のスポーツ(ランニングなど)で着用される場合のご注意〉
CW-X のブラジャーはスポーツをする方向けに商品開発をしていますが、適切なサイズやカップを使用していない場合や、大きくバストが上下するランニングなどの運動を長時間続けた場合には摩擦が生じて肌を傷つける恐れがあります。ご購入・ご使用の前には必ずフィッティングをしてサイズをご確認いただき、違和感がある場合はただちにご使用を中止して下さい。
〈ご参考〉
「衝撃から乳房を守ることが大切」
京都府立医科大学 大学院医学研究科 教授
河田光博先生
伸縮性に富むクーパー靭帯によって支えられる乳房の形
乳房は主に乳腺と脂肪から作られており、「結合組織」という組織がこれらをまとめるように支えること
で乳房の形が作られています。
この「結合組織」には、「脂肪細胞」や「線維芽細胞」、線維芽細胞が生み出すコラーゲンなどの「膠原(こうげん)線維」が含まれています。この「線維芽細胞」や「膠原線維」は、伸縮性に富んだメッシュ状の細い束になって乳腺の周りを取り囲み、乳房を上下から吊るすような形で支えています。これを「クーパー靭帯(乳房提靭帯)」といいます。靭帯といっても、腕や脚の靭帯のように骨と骨をつなぐ固くしっかりした一本の束になった組織ではなく、これらの細胞や小さな線維の束がメッシュ状に絡まりあって枝分かれし、脂肪細胞の中にも入り込みながら乳腺を支え、乳房を形作っているのです。
(注:医学では繊維という言葉より線維を使う)
完全には解明されていない下垂のメカニズム
乳房下垂のメカニズムは、まだ正確には解明されてはいませんが、次のようないくつかの要因によって起こると考えられています。
- クーパー靭帯の伸び:メッシュ状になった「クーパー靭帯」が、長時間にわたる外からの一定の刺激を受け続けることで次第に緩んで伸びてしまい、乳房を支えられなくなる。
- 細胞の統合性の乱れ:「結合組織」を構成するいろいろな細胞や線維は、一定の統制力のもとに調和しあって存在しているが、長時間にわたる外からの一定の刺激を受け続けるうちにこの統制が乱れ、調和のバランスがとれなくなり乳房を支える力を失う。
- 乳房と大胸筋の間のズレ:乳腺組織とこれを支える「結合組織」は、乳房の後ろ側で膜状の組織を作り、大胸筋の表面にある筋膜と弱い結合組織でつながっている。長期間にわたる刺激は、次第に2つの膜の間にズレを生じさせ、乳房そのものの位置が下がっていく。
- 脂肪細胞の増大:加齢によるホルモンの変化で乳腺の細胞が萎縮すると、空いた部分に脂肪細胞が入り込み、全体に脂肪の量が増えることで乳房に重みが加わるほかに、乳腺が脂肪に置き換わることで、やわらかくなり、下垂する。
ランニングのような運動の継続は下垂の誘引に
「クーパー靭帯」には強い伸び縮みに耐える力が備わっています。しかし、外から加わる刺激の大きさや頻度がある一定の許容範囲を超えると、この力が急激に失われ、「クーパー靭帯」が伸びきった状態になります。この許容レベルを「閾値(いきち)」といい、ある時期まではずっと大丈夫であったものが、閾値を超えたとたんに伸びが元に戻らなくなってしまいます。
さらに乳房が揺れなどの強い刺激を高頻度に受け続けると、「結合組織」を構成する細胞や線維の調和を保ってきた集合パターンが刺激によって変化し、次第に緩みを生じて、乳房の下垂の要因となっていきます。
このように、乳房に大きな上下動を与えるランニングのような運動は、「クーパー靭帯」にも「結合組織」にもダメージを与えることになり、こうした刺激の蓄積が、年月を経て下垂となって現れてくることは十分に考えられます。また靭帯という組織は筋肉のように鍛えて強化することができません。「クーパー靭帯」も、ランニングによる上下動のような機械的な力が加わり続けることでダメージがおよばないように、日ごろからできるだけ強い衝撃を与えないように守ることが大切です。
〈ご参考〉
「まだまだ認識が足りない、スポーツブラで“体を守る”重要性」
東京学芸大学 生活科学講座 教授
鳴海多恵子先生
スポーツをしていても大半はスポーツブラを着用せず
2009年4月下旬から5月中旬にかけて、当大学の女子学生で定期的にスポーツをしている人を中心とした268名を対象に、スポーツブラの着用に関するアンケート調査を実施しました。
この結果、スポーツブラを知っている人は98%もいるにも関わらず、約80%が運動時にも普通のブラジャーを着けていることがわかりました。また多くの人が、運動時に普通のブラジャーを着用していても特に不具合は感じていませんが、「ズレる」「肩ひもが落ちてくる」などの点を気にしている人も多く、決して不満を感じていないわけではないことがうかがわれます。
実際に経験して初めて知った「スポーツブラのよさ」
さらにスポーツブラの着用経験のない22名に対するモニター調査も行い、着用してみて気づいたことを答えてもらったところ、「普通のブラジャーを着けて運動をするより具合がよい」という感想を述べる人が8割を占めました。モニター調査でスポーツブラを着けてみて、初めて普通のブラジャーで運動をすることの不具合に気づいた人が多いことが分かります。
■着用の前後でのスポーツブラに対するイメージの変化(代表的な回答)
- 普通のブラジャーより断然運動に適していることを実感した
- 見た目ではわからなかったが、着けるとフィットして動きやすかった
- 運動時にはスポーツブラを着けなければと思うようになった
スポーツブラで体を守る意義を早期から教える必要性
アンケート調査からは、スポーツブラに対して「小学生が使うもの」「女性らしくない」というイメージが強いことも分かりました。普通のブラジャーを着けてスポーツをする人が少なくないのも、こうした先入観やイメージが先行して、「自分が身に着けるものではない」と思っている人が多いこと。また、普通のブラジャーではズレや肩ひもが落ちるなどの不満はあるけれども、ちょっと直せばすむ程度のことだと考えている人が多いためではないかと考えられます。
運動をしている若い女性がスポーツブラを着用しないもうひとつの理由として、体型の変化や乳房の下垂について、「いまの自分にはまだ関係ないこと」ととらえている人が多いことも挙げられると思われます。スポーツブラを着用することの意味や重要性について、家庭や学校の保健・体育の授業などで教えられることはほとんどありません。クラブ活動の先輩からその存在や役割を教わったという人もいますが、そうしたきっかけがなければスポーツブラのことを知らないまま過ごしてしまう可能性もあります。
しかし今回のモニター調査の結果のように、多くの人が着けてみて初めてその良さを知ったという現実を目の当たりにすると、スポーツブラの着用によって自分の体を守ることの大切さを早い段階から教え、認識を深めてもらうことの重要性を強く感じます。
※「CW-X」は、株式会社ワコールの登録商標です。
ワコール:http://www.wacoal.jp/